再生可能エネルギー技術の特許係争事例

2025.05.01 | 調査コラム

本記事は、執筆時に調査した内容を元に掲載しております。最新情報とは一部異なる可能性もございますので、ご注意ください。

1. はじめに

 世界的に再生可能エネルギー市場の拡大が日々報じられる中、企業間における特許関連の係争も活発化している。
 本コラムでは、再生可能エネルギーに関する日本および世界の動向を紹介するとともに、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの主要技術分野における係争事例を通じて、企業間の競争構造、技術開発の潮流、そして特許戦略上の留意点を把握するための基礎的な資料を提供することを目的とする。

2. 「再生可能エネルギー」とは

 再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなど、自然の恵みを利用して発電や熱を生み出すエネルギーのことである。化石燃料(石油や石炭など)とは異なり、枯渇せず、繰り返し利用できるのが特徴である。
 日本では、2009年に制定された「エネルギー供給構造高度化法」において、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」とされており、具体的には以下の7つが指定されている。

[出典]
・「どこまでが再エネ?日本と世界の再エネの定義について徹底解説!」(2024年3月)

3. 日本における再生可能エネルギーの動向

 2021年の実績において、日本の再生可能エネルギー導入量は世界第6位となっており、そのなかでも太陽光の導入容量は世界第3位である。また、その増加スピードは世界トップクラスであり、日本のエネルギー転換が加速していることを示している。
 日本のエネルギー政策は「S+3E」を基本方針として掲げており、安全性(Safety)を大前提に、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)の同時達成を目指している。2015年に発表されたエネルギーミックスの方針に基づき、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取り組みが進められている。

 2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すという目標を達成するため、政府は、再生可能エネルギーの導入を推進している。そのためには2050年に一次エネルギー供給量に占める再生可能エネルギーの比率が約5割を占める必要がある。2021年10月に定められた「第6次エネルギー基本計画」では、2019年時点で総発電電力量の18%だった再生可能エネルギー比率を、2030年には36~38%程度まで高める目標が設定された。

 エネルギー種別ごとに見ると、日本の太陽光発電は既に広く普及しているが、平地面積あたりの設置容量が多いことから、新たな設置場所の確保が課題となっている。従来のメガソーラーのような大規模発電設備だけでなく、住宅や工場、倉庫等の屋根や壁面といった、これまで設置が難しかった場所での発電を可能にする技術開発が進められている。
 中でも特に注目されているのが次世代型の「ペロブスカイト太陽電池」である。現在普及している太陽電池の約95%はシリコンを使用したタイプであるが、ペロブスカイト太陽電池は軽量性・柔軟性・低コスト化を兼ね備えており、エネルギー変換効率も近年大きく向上している。この技術は、建物の壁面などこれまで設置が困難だった場所にも太陽電池を設置できる可能性を広げ、日本の限られた土地でも太陽光発電の拡大を可能にする重要な革新と位置づけられている。
 また、太陽光発電と並んで日本での伸びしろが大きいと期待されているのが洋上風力発電である。日本は四方を海に囲まれた島国であり、洋上風力の潜在的なポテンシャルは非常に大きいと考えられている。

[出典]
・「再生可能エネルギーの新たな展開」(2024年1月)
・「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案」(2023年10月)
・「再生可能エネルギーの地域間連携が進む

4. グローバルにおける再生可能エネルギーの動向

 再生可能エネルギー技術は2025年現在、地球規模で急速な変革期を迎えている。国際エネルギー機関(IEA)の最新データによると、再生可能エネルギーが世界の電力生産量で石炭を上回るという、歴史的な転換点に差しかかっている。
 2023年における再生可能エネルギーによる発電容量の増加は、推定507GWに達し、2022年と比べて約50%の増加となった。この成長を牽引しているのは中国であり、同国の再生可能エネルギー発電容量は、今後5年間で過去5年間の3倍の成長が見込まれている。これは、世界全体の増加分の56%を占め、前例のない規模である。
 2023年から2028年にかけて、中国は世界第2位の欧州連合(EU)の4倍以上、第3位の米国の5倍以上の再生可能エネルギー発電容量を導入すると予測されている。(下図)

 その他の国・地域では、米国とEUでは、IRA(インフレ抑制法)や脱炭素化政策が再生可能エネルギー拡大を加速させている。インドはオークション制度の改善や分散型太陽光発電支援策により2028年までの急成長が見込まれている。ラテンアメリカでは電力価格上昇が分散型太陽光を後押しし、ブラジルでは大規模発電所向け政策が成長を牽引している。中東・北アフリカでは太陽光・風力のコスト競争力を活かした政策が展開される一方、サハラ以南アフリカは再エネ潜在量と電化需要に比べ導入が遅れており、資源活用のさらなる推進が課題となっている。各地域とも政策インセンティブと市場メカニズムを組み合わせた戦略が進展しているが、地域特性に応じたアプローチの差異が明確に表れている。

 IEAの予測によれば、2023年に世界で増加した発電容量のうち、種類別では太陽光発電が大部分(約4分の3)を占めたが、今後は太陽光発電と陸上風力発電の新設コストが低下し、その競争力が高まると見られており、2028年までに新設される発電所では、ほぼすべての風力発電と太陽光発電の発電コストが石炭や天然ガスの代替エネルギーよりも低くなると予想されている。一方で、洋上風力発電については対照的な動きが見られる。IEAの見通しによれば、中国を除く地域では2028年までの導入見込みが15%下方修正された。これは、投資コストの上昇により、2023年におよそ15GW分のプロジェクトが中止または延期されたことが要因となっている。

 2023年11~12月にドバイで開催されたCOP28(第28回気候変動枠組条約締約国会議)では、世界の再生可能エネルギー発電容量を2022年の水準から2030年までに3倍に拡大するという目標が合意された。この目標が実現すれば、2050年にはIEAの「2050年ネットゼロ排出シナリオ」に沿って、再生可能エネルギー発電容量は11,000GWに達すると見込まれている。
 一方で、COP28の目標達成に向けて取り組むべき主要課題として、以下の点が指摘されている。すなわち、政策の不確実性やマクロ経済の変化への対応の遅れ、自然エネルギーの迅速な拡大を妨げる送電網インフラへの投資不足、行政上の障壁や煩雑な許認可手続き、さらには新興国・発展途上国における資金調達の不十分さなどである。

[出典]
・「Renewables 2023 Electricity Global forecast summary
・「再生可能エネルギー、「2023年に50%成長、2025年には石炭を追い抜く勢い」 IEAが発表」(2024年1月)

5. 再生可能エネルギー技術分野における特許の重要性

5.1 特許出願動向

 再生可能エネルギー技術、特に太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマスなどに関する特許出願数は、世界的に顕著な増加傾向を示している。世界知的所有権機関(WIPO)のデータによると、特許協力条約(PCT)に基づく再生可能エネルギー関連の特許出願件数は、イノベーションが推進された2002年から2012年の10年間で547%増加した。その後、若干の減少は見られたものの、2019年においても2002年の3.5倍という高水準を維持している。

[出典]
・「再生可能エネルギーにおける特許取得の動向」(2020年3月)
・「エネルギー生産・供給に係る温室効果ガス削減技術の特許出願動向-再生可能エネルギー・蓄電技術を中心として-」(2023年3月)

5.2 増加傾向の要因

 上記のように再生可能エネルギー技術分野における特許出願の増加傾向については以下の要因が考えられる。

(1)政策的・財政的インセンティブ
 各国政府の政策と規制は、再生可能エネルギー技術の開発と特許取得を強力に後押しする要因となっており、とりわけ、政府による補助金制度は、企業のイノベーション活動を大きく促進する役割を果たしている。

(2)技術競争の激化
 再生可能エネルギー技術の効率向上、コスト削減、蓄電技術の発展といった技術進歩は、新たな特許出願の重要な推進力である。新しい材料や製造技術の開発により、太陽電池の変換効率が向上し、製造コストも低下している。たとえば、ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン系太陽電池を上回る効率を実現する可能性を示している。また、洋上風力タービンの技術改良、風力発電所の配置最適化、運転・保守方法の改善により、設備利用率が向上し、コストが削減されている。これらの技術進歩は、商業的な実現可能性を高めるとともに技術競争の激化を促し、特許取得へのインセンティブをさらに強化している。

(3)市場拡大とコスト競争力の向上
 太陽光発電のLCOE(均等化発電原価)の低下により、経済性が大きく改善し、それに伴って企業は市場参入を視野に入れた知的財産戦略を強化している。

[出典]
・「太陽光発電の特許 かつては日本が世界をリード、今や中国が圧勝」(2025年3月)
・「エネルギー革新と特許:再生可能エネルギー技術の最前線」(2024年7月)
・「More Government Subsidies, More Innovation of New Energy Firms? Evidence from China」(2023年5月)
・「Renewable Technology Innovation Indicators: Mapping progress in costs, patents and standards」(2022年)
・「Environmental regulation and innovation in renewable energy
 technologies: Does the policy instrument matter?」(2019年2月)
・「経産省HP:「知財」で見る、世界の脱炭素技術(前編)
・「経産省HP:「知財」で見る、世界の脱炭素技術(後編)

6. 再生可能エネルギー技術における特許関連訴訟

6.1 再生可能エネルギー分野における係争の増加

 上記5.2で見たような技術競争の激化や市場の拡大は、再生可能エネルギー分野における特許関連係争の増加をもたらすことにもなり、各プレイヤーにとっては、係争を見据えた特許戦略の構築がますます重要になっている。以下では、再生可能エネルギー分野における過去の特許係争事例について紹介する。

6.2 特許関連係争事例

(1)ジンコソーラー(中国) vs エーバランス(日本、他)(2024年)
 太陽光パネル世界最大手の中国・ジンコソーラーは、2024年12月7日、エーバランス傘下の太陽光パネル製造会社に対して特許権侵害訴訟を提起したと発表した。
 ジンコは12月6日付で米国・北カリフォルニア地区連邦地方裁判所に今回の訴訟を提起。エーバランスや同社グループのVSUNソーラーUSAなど7社に対し、ジンコのn型トップコン技術を含む特許技術を無断で使用したとして、特許権侵害に対する損害賠償および使用差し止めを請求した。

[出典]
・「中・ジンコ 太陽光パネルの特許権侵害でエーバランスを提訴」(2025年2月)

(2)トリナ・ソーラー(中国) vs カナディアン・ソーラー(カナダ)(2024年)
 グローバルな太陽光技術企業の大手であるカナディアン・ソーラー・インクは、太陽光発電業界の競合企業であるトリナ・ソーラーから特許侵害訴訟を提起された。
 2024年10月8日、デラウェア州連邦地方裁判所に提出された訴状によれば、カナディアン・ソーラーの米国子会社が、トンネル酸化膜パッシベーテッドコンタクト(TOPCon)型太陽光発電モジュール技術に関連する2件の米国特許を侵害したとトリナ・ソーラーは主張している。

[出典]
・「カナディアン・ソーラー、トリナ・ソーラーから特許侵害訴訟を受ける」(2024年10月)

(3)シーメンス・ガメサ(スペイン) vs GE(米国)(2020年-2023年)
 シーメンス・ガメサは2020年、GEの「Haliade-X」風力タービンをめぐり、特許権侵害の訴訟を提起した。
2022年には、ボストンの連邦裁判所において、陪審団が「Haliade-X」がシーメンス・ガメサの保有する特許を侵害していると認定し、これを受けて同裁判所は、GEに対し米国内での当該風力タービンの製造および販売を禁止する判断を下した。
 その後、2023年2月には、GEがシーメンス・ガメサにロイヤルティを支払うことを条件に、マサチューセッツ州およびニュージャージー州沖の既存プロジェクトにおけるタービンの製造・運用を継続することが認められた。また、ニュージャージー州沖の再生可能エネルギープロジェクトにおいて使用されるタービンに関しては、GEがシーメンス・ガメサに対し、特許使用料を従来の2倍支払うことが命じられた。 
 一方で、英国における両社間の同様な訴訟においては、2022年11月にロンドンの裁判所はシーメンス・ガメサの欧州風力タービン特許を無効と判断している。

[出典]
・「GE settles wind turbine patent disputes with Siemens Gamesa」(2023年4月)
・「Siemens Gamesa loses UK patent dispute over GE wind turbines」(2022年12月)

(4)ハンファQセルズ(韓国)vs ジンコソーラー(中国)、ロンジ(中国)、REC(ノルウェー)(2019年-2020年)
 ハンファQセルズは2019年、中国太陽光パネル大手のジンコソーラーとロンジ・ソーラー、ノルウェーのRECグループに対し、自社が保有するPERC(Passivated Emitter and Rear Cell)技術に関する特許を侵害しているとして、米国、ドイツ、オーストラリアの各国で訴訟を提起した。PERCとはセルの背面に再結合を防ぐ保護膜を重ね、発電効率を高める技術であり、ハンファQセルズはこの保護膜の安定的な形成方法に関する特許を複数の国で取得している。
 ドイツにおいては、2020年6月、デュッセルドルフ地方裁判所における第一審判決で、ジンコソーラー、RECグループ、およびロンジ・ソーラーテクノロジーが、ハンファQセルズの保有する欧州特許「EP2220689B1」のドイツ部分を侵害していると認定された。

[出典]
・「太陽電池の特許侵害騒動 韓ハンファ、競合3社と対立」(2021年1月)
・「Hoyng ROKH Monegier wins first instance infringement dispute for Q-Cells」(2020年7月)

EP2220689B1
(特許権者:INST FUR SOLARENERGIEFORSCHUNG GMBH (DE)、登録日:2014.8.27)
【発明の名称】METHOD FOR MANUFACTURING A SOLAR CELL WITH A SURFACE-PASSIVATING DIELECTRIC DOUBLE LAYER, AND CORRESPONDING SOLAR CELL(表面通過誘電体二重層を備えた太陽電池を製造する方法、および対応する太陽電池)

【請求項1】(機械翻訳)
シリコン太陽電池の製造方法であって、以下のステップを含む:
シリコン基板(1)を提供する工程;
逐次蒸着法により、シリコン基板の表面に第1の誘電体層(3)を堆積させるステップであって、第1の誘電体層は酸化アルミニウムからなる、ステップと
第1の誘電体層(3)の表面上に第2の誘電体層(5)を堆積させる工程であって、第1および第2の誘電体層の材料が異なり、水素が第2の誘電体層に取り込まれる、工程。

EP2220689B1

(5)ソーラーエッジ(イスラエル) vs ファーウェイ(中国)(2018年-2022年)
 イスラエルのソーラーエッジは、同社が保有する太陽光発電用インバータ技術に関する特許が侵害されたとして、2018年前後に中国のファーウェイをドイツおよび中国で提訴した。一方、ファーウェイも中国においてソーラーエッジを特許侵害で提訴し、中国の裁判所ではファーウェイ側の主張が認められるなど、両社は複数の国で相互に係争する状況となった。
 最終的に両社は、2022年にグローバルな特許ライセンス契約(クロスライセンス契約)を締結し、ドイツおよび中国におけるすべての係争中の訴訟を終結させた。

[出典]
・「Huawei, SolarEdge settle patent litigation lawsuits」(2022年5月)
・「SolarEdge violated Huawei inverter patent, rules Chinese court」(2020年8月)
・「Huawei facing another three Solaredge lawsuits」(2019年10月)

(6)近畿北都住設 vs 斉藤ハウジングサービス(2016年-2018年)
 2016年、特許権者(株式会社近畿北都住設)が太陽光発電装置の施工方法に関する特許権を侵害されたとして、被告(有限会社斉藤ハウジングサービス)に対し損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に提起した。2018年10月17日、同地裁は原告の請求を認め、被告に対し損害賠償の支払いを命じた。

[出典]
・「平成28年(ワ)第38103号「太陽光発電装置の施工方法」事件」(2018年12月)

特許5279937
(特許権者:株式会社近畿北都住設⇒株式会社アルバテック、登録日:2013.5.31)
【発明の名称】太陽光発電装置、太陽光発電パネル載置架台、太陽光発電装置の施工方法、太陽光発電パネル載置架台の施工方法

【請求項1】
太陽光発電パネル及び前記太陽光発電パネルを載置する太陽光発電パネル載置架台であって、基礎部材、足場パイプにより形成される柱部材及び足場パイプにより形成される接続部材を有する太陽光発電パネル載置架台を有する太陽光発電装置を施工する太陽光発電装置の施工方法であって、
前記基礎部材を形成するために地面に形成された基礎形成用溝に沿って前記柱部材を配置し、
前記基礎形成用溝の内部において、隣接する前記柱部材を前記接続部材で接続し、
前記基礎形成用溝に所定のコンクリートを流し込んで、前記接続部材をコンクリートに内包する基礎部材を形成し、
前記基礎部材上に前記太陽光発電パネル載置架台を生成し、
生成した前記太陽光発電パネル載置架台に前記太陽光発電パネルを載置すること、
によって前記太陽光発電装置を施工する太陽光発電装置の施工方法。

特許5279937

(7)京セラ vs ハンファQセルズジャパン(2014年-2015年)
 京セラは2014年7月10日、ハンファQセルズジャパンに対し、太陽電池の「3本バスバー電極構造」に関する特許権を侵害されたとして、東京地方裁判所に損害賠償を求める特許侵害訴訟を提起した。これに対し、ハンファQセルズジャパンは、「3本バスバー電極構造は、京セラの特許出願に先立ち、遅くとも1990年代には研究論文等で公表されていた公知の技術であり、京セラの主張は一方的である」と反論し、争う姿勢を示していた。
 2015年10月6日、京セラはハンファQセルズジャパンと太陽電池技術に関するクロスライセンス契約を締結したと発表した。これにより、京セラが提起していた特許侵害訴訟は取り下げられ、両社間で和解が成立した。

[出典]
・「京セラとハンファQセルズジャパン、特許侵害訴訟で和解」(2015年10月)

特許4953562
(特許権者:京セラ株式会社、登録日:2012.3.23)
【発明の名称】太陽電池モジュール

【請求項1】
透光性パネルと裏面保護材との間に、インナーリードで互いに電気的に接続された、複数枚の板状の太陽電池素子を配するとともに、これらの間隙を充填材で充填してなる太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池素子は、半導体基板と、該半導体基板の受光面側に出力取出用の3本の表面バスバー電極及び該表面バスバー電極に直交する複数の表面フィンガー電極を含んでなる受光面電極と、前記半導体基板の非受光面側に出力取出用の3本の裏面バスバー電極とを有し、
複数枚の前記太陽電池素子は、一方の前記太陽電池素子の各々の前記表面バスバー電極と他方の前記太陽電池素子の各々の前記裏面バスバー電極とが前記インナーリードでそれぞれ接続されており、
前記表面バスバー電極は、その幅が0.5mm以上2mm以下であり、かつ前記表面フィンガー電極は、その幅が0.05mm以上0.1mm以下であり、
各々の前記裏面バスバー電極は、前記半導体基板を挟んで、各々の前記表面バスバー電極の直下に配置されており、
3本の前記表面バスバー電極のうち、1本の前記表面バスバー電極は、前記半導体基板の基板中心線上に位置し、
隣り合う前記表面バスバー電極は、前記表面フィンガー電極を介して互いに電気的に接続されていることを特徴とする太陽電池モジュール。

特許4953562

(8)三菱重工 vs GE(米国)(2008年-2013年)
 2008年、GEは米国国際貿易委員会(ITC)に対し、三菱重工の可変速風力タービンが自社の特許を侵害しているとして提訴した。これを受けて、三菱重工もGEを訴えるなど、米国内で両社による訴訟合戦へと発展した。
 三菱重工は2013年12月16日、GEとの和解を発表した。両社は今後、相互に特許を利用可能とする「クロスライセンス契約」を締結した。

[出典]
・「三菱重工、米GEと和解 風力発電の特許巡る訴訟で」(2013年12月)
・「三菱重工に173億円の賠償命令 GEとの訴訟で米地裁」(2013年5月)

7. まとめ

 これまで見てきたように、再生可能エネルギー技術は今後も技術の進歩と市場の拡大が見込まれている。
 一方で、太陽光や風力などの再生可能エネルギーには、変動性や不確実性、立地の制約といった特性があり、従来の電力システムからの移行にはさまざまな課題が伴う。また、グローバルな動向としては、米国をはじめとする影響力のある国の政策にも大きく左右される点にも留意が必要である。
 こうした要素を踏まえながら、特許出願の推移や市場拡大に伴う特許係争の増加とそのトレンドを通じて、今後も再生可能エネルギー技術の動向を注視していきたい。

[出典]
・「トランプ政権、クリーンエネ支援縮小 まずは風力発電」(2025年1月)
・「IEA “World Energy Outlook 2022”」(2022年)

調査1部 柏木

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