アズテックの在宅勤務制度
2025.04.01 | 調査コラム
1. はじめに
昨今の日本では、多くの企業が「少子高齢化に伴う労働人口の減少」「育児・介護との両立」「労働に対する価値観やニーズの多様化」などの課題に直面しており、政府も働き方改革の推進を掲げています。アズテックでは、2019年9月掲載のコラム「アズテックの社内支援制度」でご紹介した在宅勤務制度を利用し、社員一人ひとりの働きやすさの充実に努めています。前回の掲載から約6年が経過しており、制度内容も大きく変わりましたので、今回は制度の変遷を中心に紹介し、今後を見据えたアズテックの働き方に対する考え方を改めてお伝えします。アズテックへの入社を考えている方も、在宅勤務制度の導入を検討している企業担当者様も、ぜひ参考になさってください。
2. 前回コラム掲載後の制度の動き
2020年以降、2つの要因により制度内容を修正してきました。1つはコロナ禍です。そしてもう1つはコロナ禍で制度の根本を変えたことにより、新たな管理や対応が必要になったことです。
2.1 コロナ禍における対応
2020年初頭から世界的な流行をもたらした新型コロナウイルス感染症による一連の騒動は、私たちの働き方を大きく変えました。緊急事態宣言による外出自粛が発表され、多くの企業が出社勤務に影響を受けたことと思われます。アズテックは既に在宅勤務制度が機能していたため、宣言直後に全社員へ在宅勤務が命令されました。これまで培ったノウハウにより、大きなトラブルも無くスムーズな移行が実施できたことで、業績への被害を最小限に食い止められました。この際、制度の対象者を限定的なもの(通勤困難者や育児・介護従事者など)から全社員へと拡大しました。これにより、誰でも選択的に在宅勤務を利用できるようになり、今日まで継続しています。
2.2 ルール整備の必要性
対象を全社員へ拡大したことにより、新たなルール整備の必要性が生じました。在宅勤務環境に合わせた服務規律や、災害などの緊急事態での対応、業務の連絡・報告方法や、セキュリティルールについてです。確かに制度自体は既に存在していたものの、これまでに無い新たなケースに対応する必要が出てきました。従来の対象者は育児や介護等の理由から常に在宅勤務を行う「完全在宅」が主流であったのに対し、対象者を拡大したことで在宅勤務と出勤・出張を選択して行う「部分在宅」となるケースが増えたことが大きな要因でした。具体例を1つ挙げると、「在宅勤務」「出張」「本社勤務」の3つが1日の内に全て起こる場合、勤務時間(みなし労働時間)はどうするのか、更に直行直帰が複雑に絡むと、通勤費と出張交通費はどう区別するのか、といった問題が出てきました。これは在宅勤務制度を拡大したことにより、通勤費を定期代支給から実費精算へと変更したことも要因の1つです。この様に本来の制度のみならず、それにリンクする周囲の規則改定も行う必要がありました。
2.3 システムの変更
併せて在宅勤務システムの変更も行いました。従来は在宅勤務で利用するPCから会社に設置してあるPCへとリモートでアクセスし、遠隔操作するシステムを利用していました。ところが、在宅勤務が可能ではあるものの、ソフトウェアの仕様により一部の作業が禁止・制限されてしまい、業務において効率が落ちてしまうところが課題でした。そこで会社PCをデスクトップからラップトップ(ノートPC)へと変更し、在宅勤務・出社に関わらずVPNを利用して会社サーバへアクセスできるシステムへと変更しました。課題であった制限も無くなり、非常に効率化が図れました。他にも、総務管理部としてPC管理のコスト低減も併せて達成することができました。ただし、こちらには大きな導入コストがかかったため、オフィスの地代家賃等その他のコストとトレードオフする必要がありました。
3. 見えてきた課題
在宅勤務拡大によるメリットは大きく、社員からも「集中できる環境構築ができた」「生活リズムや体調に合わせて勤務ができる」「通勤時間の削減が有意義」といった声が届いています。その一方で、全社的な利用となったことにより新たな課題も見えてきました。
まずはコミュニケーションの問題です。在宅勤務環境だと他の社員の状況を目視で判断できないため、声をかけにくい/声をかけるのを躊躇してしまうという声が挙がりました。出社していれば、実際に相手を見て「忙しそうだ」「今なら大丈夫そうだ」と判断がつくのですが、在宅勤務ではグループウェアのスケジュールやステータスくらいしか判断材料が無いため、コミュニケーションをとる上でハードルが増えます。特に新人が「困った時に質問しにくい」という状況に陥りやすいです。更に、出社時はトイレや給湯室等で発生した「他部署の社員と接する機会」が極端に減ります。中には長期の在宅勤務で孤独や孤立感を感じる社員もいます。これらを防ぐため、普段から雑談の機会や場所を用意したり、コミュニケーションの取りやすい環境・雰囲気作りが重要です。
また勤怠管理の難しさも挙げられます。単純なサボりだけでなく、オーバーワークによる残業増加も無視できません。通勤時間の削減や、体調不良時の柔軟な対応が可能になるといったメリットがある一方、「PCを開けばすぐに作業ができるので、ついつい仕事をしてしまう」「誰かが帰宅したり電車の時間を気にすることが1つの目安になっていたが、自宅で集中しているとついつい長引いてしまい、止め時が分からない」といった声が挙がりました。各自がきちんと時間管理を行うことが重要ですが、業務に見合った勤怠管理のシステムや仕組みの導入も検討する必要があります。
システム面で言えば、ソフトウェアやツールの利用についても当初はトラブルが散見されました。在宅勤務を行う場合、利用者は基本的な作業を全て1人で実行できなければなりません。そんなことは当然だ、と感じられるかも知れませんが、やはり社員の中にはソフトウェアやツールの細かい部分まで理解できず、苦手意識のある者もいます。出社時は誰かに頼んだり見聞きして何とかしていた作業も、在宅勤務では全て自分で行う必要があります。これについては「Web会議に接続できない」「資料を共有できない」など、特にWeb会議でのトラブルが多くの割合を占めました。こちらは時間の経過とともに解消していきましたが、導入当初はレクチャーや理解しやすいマニュアルの整備などが効果的です。
4. 在宅勤務制度の今後
コロナ禍の影響により一時的に拡大を見せた在宅勤務の導入ですが、コロナ禍の収束とともに再びオフィスワークへ回帰する動きが目立ってきました。海外ではGAFAを中心に出社を義務化する企業も出て来ており、国内も大企業が方針を変更するとのニュースが続いています。
それではアズテックは今後どういった方針をとるのかと言うと、現在の在宅勤務制度を縮小・廃止するつもりはありません。弊社の企業理念では、世界の産業への貢献と併せて従業員の幸せの追求を謳っています。1人ひとりの事情やライフイベントに寄り添い、働きやすさの充実を図ることを今後も会社として推し進めていきます。依然として制度に関する課題は残っていますし、全てを解消することは難しいかも知れませんが、まだまだ打てる手段は沢山残っていると考えています。現在は、全社的なコミュニケーションを促進させる場づくりや研修・イベントの再考、そして本社と在宅の効果的なハイブリッドワークの推進による更なる効率化を検討しています。バランスを考慮しながら、制度と成果の両立を目指します。
5. まとめ
今回のコラムでは、アズテックにおける在宅勤務制度についてお伝えしました。定期的に実施している社内アンケートでは、制度変更当初に「満足23%、やや満足59%」だった数値が、最新の結果では「満足41%、やや満足48%」となりました。満足の数値がほぼ倍増し、満足・やや満足の合計も7%上昇しており、社内では制度整備に対して好意的に評価してもらえています。採用・転職市場においても、依然として応募者は在宅勤務に対して強い魅力を感じていると見受けられるシーンが多く、アズテックはこの制度を武器に大きく成長していきたいと考えています。本コラムを読んで私たちと一緒に働きたいと思ってくれた方がいれば、是非ともご応募ください。お待ちしています。
総務管理部 小倉健太郎