アズテックの社内支援制度

2019.09.11 | 調査コラム

本記事は、執筆時に調査した内容を元に掲載しております。最新情報とは一部異なる可能性もございますので、ご注意ください。

1. はじめに

 アズテックは特許情報の調査・分析を専門とした独立系の調査会社で、知財業界に身を置く企業の中でも割とニッチなポジションであると考えています。人材採用のシーンでは大手企業と比較されることも多く、より良い人材の確保については四苦八苦しながらも毎年続けています。事実、就職市場はここ数年で売り手市場化が進み業種や企業規模による違いはあるものの、人を1人採用することも難しい時代になってきました。また採用だけでなく、より高品質な特許調査を提供するために調査のプロフェッショナルを育て上げることも私たちの使命です。

 今回のコラムを担当する私(小倉)は業務では人事総務を担当していますので、アズテックで実際に行っている2つの社内制度(在宅勤務、教育支援)をご紹介することで、普段とは別の側面からアズテックという会社を知ってもらえたらと思います。

2.  アズテック調査員の基本情報

 アズテックには現在33名 の調査員が在籍しています。平均年齢は男性47.3歳、女性37.8歳で、中心の世代は男女ともに30代ですが20代~60代まで幅広い年齢層の調査員が活躍しています。男女構成比はほぼ半々ですが、お客様との打ち合わせや採用面談などの機会に「女性が多いですね」と言われることも多く、この業界・業種では比較的珍しいようです。女性調査員の4割が「出産による退職後、ある程度子供が育ったので職を探してアズテックに入社した」「アズテックで産休・育休を取得し、復帰した」という経験があり、組織としても子育てをしながら続けやすい職場作りを意識しています。

3.  支援制度

 今回は、アズテックの内外から評判の良い2つの支援制度を紹介します。

3.1  在宅勤務制度

 テレワークシステムを利用して、在宅勤務を行うことができる制度です。現行では下記の対象者に対して許可しています。

  • 通勤困難者
  • 育児従事者(小学6年生まで)
  • 介護従事者(要介護度3以上)
  • その他会社が認めた者

 この制度は、調査員から「配偶者の転勤で地方に転居することになった。でも今の仕事を続けたいので、何か手段はないか」と相談されたことがきっかけで生まれました。こういった場合、調査員には転職活動に伴う負担や収入減による不安が発生しますし、会社側には優秀な人材の流出や新しい採用活動と教育によるコスト増が発生します。この制度を利用したことで、こうした互いの不利益を避けることができました。

 その他「怪我や病気で通勤困難になった」などの事例もあり、これまでに想定していないケースや、細かい事情にも対応できるようにしています。こうして“仕事と家庭の両立”が果たせる仕組みとして、調査員からは好評です。更に次の改正では対象者の条件を緩和することも検討しており、より多くの調査員が利用しやすくなるために今後も制度を改善していきます。

 在宅勤務制度については特に女性からの支持が多く、会社の掲げる「育児がしやすい労働環境」の提供に一役買っています。採用面談においても「ウェブサイトでこの制度を確認したので応募しました」という方は珍しくなく、ニーズの高さが伺えます。また大変ありがたいことに、内閣府、厚生労働省、総務省の発行する機関誌やレポートでもアズテックのこの制度が紹介されていることから、一定の評価を得られたのではないでしょうか。

 ただ、制度を稼働させるまでの事前準備には苦労しました。アズテックでは業務の中で機密情報を扱うため、この制度の利用に対しては特に厳しいセキュリティ体制をとっています。例えば業務に使用するパソコンは、テレワークシステムでセキュアな環境に保たれています。社外へ持ち出す資料を管理し、第三者の立ち入りを防ぐ作業環境の指示徹底など細かいルールを確認し、対象者とはそれぞれ覚書を交わしています。連絡体制や就業規則の改定など、事前にクリアすべきことも多くありますが、それだけの価値がある制度だと考えています。

3.2  教育支援制度

 従業員の教育や自己啓発活動における費用を1人あたり年間3万円を上限として支給する制度です。また、対象によっては交通費を支給し活動時間を業務時間として認める場合もあります。この制度の支援対象は下記の通りです。

  • 研修・セミナーの受講料
  • 映像や模型なども含めた図書資料の購入費
  • 公的資格や外国語習得の為の受験料と授業料

 この制度はアズテックの調査品質向上のため、調査員の自発的な勉強姿勢や上司の部下に対する教育といった活動を促進させる効果を狙って打ち出したものです。

 これまでに「現在担当している技術分野の発表会/展示会に行きたい」「業務に利用する参考書が欲しい」「効率化のためにマクロを組めるようになりたい」「中国語会話教室に通いたい」「弁理士の専門学校に通いたい」などの要望があり、この制度を利用して多くの調査員が自己学習を行ってきました。この制度は在宅勤務制度よりも支援の裾野が広いため、利用者も多く評判も良いです。

 例えば「業務が忙しく勉強の時間を取れなかった」という調査員からも、通勤中に読書をしたりと、以前より学習の機会が増えたという声が届きました。

 この制度は情報を共有するほど利用率が向上します。実際に支援を開始してから「制度があったことを知らなかった」「利用しようとしていたが、つい忘れてしまった」「そんな使い道で利用できるとは知らなかった」といった声が過去には届いています。だからこそルールを明確にし、実例や状況をこまめに共有することが活性化の鍵です。また、制度の利用者やその上司に利用後の状況を確認するなど、「利用しっぱなし」にならないよう教育支援の一環として効果を高める工夫をすることが望ましいです。

4.  おわりに

 以上、アズテックの社内支援制度についてご紹介しました。政府が推し進める働き方改革を筆頭に、日本は「働きやすさ」を求める方向に舵が切られています。今回紹介した2つの制度はどちらもアズテックにおける「働きやすさ」に一役買っているものの、まだ改善する余地があると思っています。更に働きやすく、更に能力を発揮できるような支援をこれからも構築していきたいと思います。

※今回提示した数値・データは2019年9月1日付のものです

総務管理部 小倉

<参考>

・厚生労働省より発行の「平成27年度テレワークモデル実証事業 テレワーク活用の好事例集」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritu.html

・内閣府より発行の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2016」
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/report-16/zentai.html

・総務省の「働き方改革のためのテレワーク導入モデル」
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/

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