１．　はじめに

　特許検索競技大会は、特許調査の実務能力を競う日本唯一の大会として2007年から開催されています。この大会は、特許情報を迅速かつ正確に検索・分析する能力が問われるものです。また、この大会は能力を問うだけでなく、フィードバックセミナーを開催して問題の解説を行うことで、特許調査技術の普及啓発・向上を促すことを目的としています。参加者は自らの特許調査能力の客観的な確認ができるとともにスキルアップ向上への取り組みの一つとして活用できます。
　また、成績優秀者への表彰と一定レベルの認定を行っているため、参加者自身の社内外への能力のアピールにもつながります。
　アズテックとしては、実務能力を高める教育ツールとして、社員に参加を促しています。また、企業としての信頼感を持っていただけるよう、実績を収めた結果を会社としてのアピールにも使用させていただいております。

２．　特許検索競技大会への挑戦

　今年、私は特許検索競技大会の取り組み責任者となりました。この大会を一つの成長機会と位置付け、社員への参加促進から社内研修を実施し、自ら大会にも参加しました。今年は久しぶりに団体の部が復活した上に、成績優秀者を毎年輩出していることもあり、責任者はプレッシャーでもありました。
　なお、私は責任者ではありましたが、他の社員の協力があってこそ、参加促進や社内研修を実施することができました。
　
　特許検索競技大会は日頃の業務への取り組みの成果が表れるものではありますが、アズテックでは例年大会に向けての研修として、成績優秀者からの講義も実施しておりました。
　今年の社内研修では、研修を企画する社内のチームメンバーと協力し、認定者を増やすことを目的として、実際に受けた社員の過去回答を回収し、その回答と成績を踏まえてアズテックとしての弱点を探るところから始めました。その弱点を基に、能力の底上げを図るような研修内容を検討し、新たな取り組みとしての研修を実施しました。

３．　大会の結果

　今年の成績としては、下記にお知らせしている通りです。
・特許検索競技大会2024にて団体の部３位＆ゴールド認定１名となりました

　ゴールド認定は大変素晴らしく、また、久しぶりの団体の部でも３位入賞という結果となり、当該メンバーの成果に嬉しく思います。
　上記以外にも、初のブロンズ認定を惜しくも逃した人や、社内表彰の「急成長賞」に該当する者が２名もおり、来年以降にも期待を持つことができ、頼もしく感じました。

　個人的な成績としては認定に至らず団体の足を引っ張る結果になってしまったのは残念であります。ただ、残念ではありましたがそんな私も含め、フィードバックセミナーの内容を基に、自己の不足している部分を見返し、能力向上に励むことが重要であると思います。

　特許検索競技大会2024 表彰式では、主催者及び表彰対象者との間で意見交換の場を設けていただいたのですが、各企業のこの大会への取り組みを知ることもできました。また、改めて、このような特許調査能力を客観的に評価してもらうのは有難い機会であり、より良い結果は会社としての信頼感を高めることができ、競争力強化にもつながっているということを感じました。

４．　最後に

　特許検索競技大会に参加することは、社員個々の成長と会社の競争力向上につながる機会となります。次回の大会ではさらに認定を受ける社員を増やし、持続的により良い成果が出せるよう努めて参ります。

　また、このような貴重な大会を開催してくださる主催の一般財団法人工業所有権協力センター（IPCC）及び特許検索競技大会実行委員会にもこの場を借りて感謝申し上げます。
表彰式の後、主催者側から参加人数がなかなか増えず、どうやって参加者を増やしていくかが課題というお話を伺いました。実際に参加に対してハードルを感じている方にお会いしたことがありますが、この大会は単純に成績の結果だけではなく、特許調査技術のスキルを向上させるためのものでもあります。参加を躊躇せず、まずは気軽に挑戦して自分の能力に対して評価をしてもらい、何が自分に足りないのかを理解するところから始めてみるだけでも個人的には参加する意義があると感じます。
　このコラムを通じて、少しでも興味を持った方が参加してもらえればと思います。特許検索競技大会が今後も盛り上がりつつ、特許情報業界のすそ野が広がることに期待したいです。

調査１部　永岡

【参考】
https://www.ipcc.or.jp/contest/about/