サーチャーのための中国国家知識産権局(CNIPA)の使い方
2024.07.01 | 調査コラム
目次
1. はじめに
世界には160以上の「特許に関する庁」というものが存在します。各庁はそれぞれ専用のホームページを持っていることが多いですが、海外の特許庁のホームページを訪問することにハードルを感じている方も少なくないのではないでしょうか?そこで、本コラムシリーズでは、初心者でも海外の特許庁をできる限り簡単に使える方法を追究していきます。
シリーズ第四弾となる今回は中国国家知識産権局(以下CNIPAと表記)を取り上げます。
2. CNIPAについて
2.1 CNIPAとは
正式名称は「China National Intellectual Property Administration(邦訳:中国国家知識産権局)」、略称「CNIPA」といいます。2018年に「State Intellectual Property Office(略称SIPO)」から名称変更となりました。
2.2 CNIPAのウェブサイト概要
まずCNIPAへのアクセス方法ですが、Googleなどで「中国」「特許庁」と検索してもなかなかヒットしないため、「CNIPA」と入力します。なお、「CNIPA」と入力した場合、最初から英語のページに飛ぶこともあるようです。
また、https://english.cnipa.gov.cn/から直接アクセスすることもできます。
インターフェースの言語は右上で「中文」をクリックすることで切り替えることができます。なお、英語ページと中国語ページはだいぶ雰囲気が異なります(中国語のトップページ【図2】)。
英語版のトップページでは、「Quick Links」から、各種公報の検索、出願方法の説明、年金情報などの各種情報に簡単にアクセスできます。
なお、「出願の流れ(How to Apply)」では、各種知財活動のタイミング・期間や料金発生のタイミングなども一目でわかります。
2.3 まずはCNIPAに登録しましょう
CNIPAでは現在、「登録」を行わないと、公報の書誌情報等が見られない仕様となっています。
メールアドレスで登録が可能です。以下に登録の手順を示します。
トップページにある(Quick Links>Search>)Patentsをクリックし、検索画面にアクセスします。
表示言語は右上から変更できます(中国語、英語、日本語等)。
画面の右上の「登録する」から登録画面へ遷移することができます。
ログイン画面の「アカウントログイン」の下部にある「ユーザー登録」をクリック。
メールアドレスを入力すると、そのメールアドレスに認証コードが届きます。認証コードを入力し、自分で設定したパスワード(大文字+小文字+数字+特殊文字が必要)を入力して「登録」をクリックすると、登録が完了します。
なお、「メールボックス認証コードの取得」をクリックするとカウントダウンがはじまります。その時間は60秒。パスワードを予め考えておかなかった私はここでかなり焦りました。
3. CNIPAでの検索
3.1 CNIPAでの公報番号検索
ログイン画面(https://pss-system.cponline.cnipa.gov.cn/login)にて、メールアドレス、パスワードを入力すると、キーワード、分類、公報番号等を用いた、いわゆる「簡易検索」画面へアクセスすることができます。
タブで項目を選択すると、検索ボックスの下部に入力方法の解説が表示されます。ただし、日本語の解説はややわかりづらいものがあるので、英語などで確認するのがお勧めです。
出願番号を検索する場合、「申請番号」のタブをクリックした後、検索ボックスに番号を入力します。
(例)CN200480041872
公報番号を検索する場合、「公開(発表)番号」のタブをクリックした後、検索ボックスに番号を入力します。
(例)CN1917946
公報番号を検索した際に最初に表示される画面では、出願日(※)、発明名、出願人の情報が一覧で閲覧できます。
※「公開日」のところに記載されている日付が「出願日」(中国語では「申请日」と表記)です。
また、各タブを選択すると、各項目を閲覧できます。ただし、「要約」「主請求項」「著書の項目」は中国語のみの表記となっています。
なお、「同族」は「ファミリ公報」を指します。
「法律の状態」タブのみ、中国語に加えて英語表記でも閲覧できます。ただし、ここにはなぜか「出願日」の記載がありません。
3.2 その他CNIPAでできること
CNIPAでは、詳細検索を行うことができます。
検索画面(https://pss-system.cponline.cnipa.gov.cn/conventionalSearchEn)の「検索」タブから「詳細」をクリックすると、詳細検索画面へ飛ぶことができます。
詳細検索では、検索対象の公報種別や国を選択することができます。
各項目のところにカーソルを合わせると、項目の入力例等の説明が表示されます。ただし、日本語訳がやや怪しいので、中国語原文を確認するか英語版で確認した方がいいかもしれません。
なお、公報種別や国を何も選択せずに検索を行うと、全ての公報種別・国が対象となるようです。
(例)要約に「chocolate」と入力して検索を行いました。
4. まとめ
今回、CNIPAのウェブサイトをあらためてじっくりと訪問し、多言語への配慮、いろんな形での検索ができる、出願の流れを図解で説明するページがある等、かなり充実しているなという感触がありました。その反面、日本語訳が怪しい、使い方を探らなければならない等、初心者にはハードルが高く感じられる箇所も見受けられました。
2019年には国際特許出願(PCT)で国別首位になり、まだまだ経済成長も続いている中国。今後も特許・経済ともに動向を注視していきたい国の一つです。
調査2部 工藤
【参考】
https://english.cnipa.gov.cn/(CNIPAのホームページ(英語版))
https://pss-system.cponline.cnipa.gov.cn/login(検索へアクセス出来るログイン画面)